「100mW級94GHzシングルダイオード整流回路の製作と性能評価」



「ジャイロトロンを用いたサブテラヘルツ無線電力伝送」

サブテラヘルツ帯において303GHzレクテナを開発し、ジャイロトロンを用いた無線電力伝送試験を行った。アンテナはマイクロストリップアンテナを用い、導波管-マイクロストリップライン変換回路であるフィンラインを用いて測定し8.32dBiの利得が得られた。IRカメラを用いてビームプロファイルを測定し、レクテナへの入力電力を見積もることでRF-DC変換効率を評価した。最大DC電力およびレクテナ電力密度(単位面積当たりのDC電力)は、17.1mW、3.43kW / m 2であり、RF-DC変換効率は、342mWの入力電力と130ΩのDC負荷において、2.17%が得られた。

「マグネトロンフェーズドアレーを用いるマイクロ波無線電力送電システムの研究」

マグネトロンはマイクロ波発振源として、高効率、安価、軽量化という実用的な長所がある。しかし、マグネトロンの発振周波数が不安定。本稿は注入同期法及びPLL法を利用し、マグネトロンの位相制御ループを実験で検証した。位相制御マグネトロンをマイクロ波発振源として、複数台マグネトロンをアレー化し、マイクロ波送電システムを構築する。複数台マグネトロンの出力周波数が同一の場合に、マグネトロン間の出力位相差を調整し、マイクロ波送電システムの送電方向が調整できる。この原理で、マイクロ波の送電方向制御が可能になる。2台の位相制御精度±1°及び電力300Wの位相制御マグネトロンをアレー化し、シミュレーションと実験を行った。

「ドローンを用いたマイクロ波無線電力伝送(ドローンMPT)の研究」

近年,無線電力伝送技術の1つであるマイクロ波送電(MPT)並びにその応用に注目が集まっている.我々は既存の送電技術と無人航空機(ドローン)を組み合わせる複合システム(ドローンMPT)を提案している.本システムでは飛行するドローンへ電力を供給するのではなく,マイクロ波送電アンテナを搭載したドローンを電力供給源とすることで,通常電力供給が期待できない火山,災害現場などへの給電を目指す.ドローンに搭載する送電アンテナのサイズは極力小さいことが望ましい(50cm角程度).本研究では,ドローンMPTの高効率化のため,比較的小規模のアレイアンテナでビームフォーミングおよびその評価を行った.送電ビームの伝送効率だけでなく,レクテナアレイによる直流変換およびシステム全体での効率まで評価している.

「成層圏プラットフォーム飛行船へのマイクロ波無線電力伝送システム検討」

我々は、成層圏プラットフォームのための飛行船への長距離マイクロ波電力伝送を調査している。成層圏プラットフォームとは高度20kmに浮かべた無人飛行船を通信ネットワークや放送、地球観測の基地として使用する計画である。この飛行船への電源供給方法としてマイクロ波無線電力伝送が提案されており、実現すると宇宙太陽光発電への大きな一歩ともなる。本論文では、このシステムの実現可能性について議論する。 まず、送信アンテナの最適サイズについて検討する。高度20kmで70%の効率を達成するためには半径30mのアンテナが必要である。次に、さまざまなビーム走査角の場合で効率を計算する。その結果、高度20kmでは±15度が望ましい。

「飛翔体への無線給電に関する基礎実験」

我々は、マイクロ波を用いた飛翔体への給電システ ムに関する研究を行っている。周波数5.8GHzで約130W程度放射可能なフェーズドア レーアンテナシステムを用い、近傍にある目標に対するビーム制御特性および受電特性 の評価を行うとともに、レクテナに接続する負荷に関して、抵抗負荷およびモータ等を 接続した条件での評価を行った。本報告では、我々のコンセプトおよび実験概要に関し て述べる。

.「飛行中ドローンへの28GHzレクテナによる無線電力伝送と送受電効率の考察」

ドローンへのレクテナを用いた無線電力伝送が注目されている。その中でも、高周波数帯はビーム拡散を抑制でき、面積に限りのあるドローンには適している。本研究では、定点で飛行しているドローンに向けて地上から28GHzの電磁波を照射し、ドローンに取り付けられたレクテナへの給電を行った。その結果、ドローン飛行中に最大47mWのDC電力を受電し、送受電間効率1.3%の達成に成功した。また、この最大値は、レクテナを固定して行った実験の結果と合致することも確認された。この結果をもとに、現状の達成しうる最大効率を計算し、さらなる効率向上に向けた送受電アプローチを提案する。

「飛行中ドローンへの28GHzレクテナによる無線電力伝送におけるドローン位置制御の考察」

ドローンは観測や宅配等の様々な用途が期待されているが,現状では航続可能時間が短く,実用的に使える用途は限られている.より幅広い分野で活用するためには飛行時間を伸ばすことが不可欠となる.本研究の目的はミリ波電力伝送を用いて地上基地から上空のドローンへの給電を達成することである.今回,屋内GPSとIMUを使用してARDroneの位置に対してフィードバック制御を適用し,ミリ波送信アンテナの上空にとどめておく実験を行った.この実験においてARDroneの位置誤差を15 cm以内に収めることに成功し,飛行中にミリ波を受信することは可能であるという結果が得られた.これを基に,ドローンへの給電システムの実現可能性について議論する

「SSPS実現に向けての研究開発概要と垂直方向マイクロ波無線送受電実証試験準備状況」



「薄板構造を組み合わせたSPS用発送電一体パネルに関する研究」

SPS実現への課題の一つにあげられる輸送回数を減少させるために、我々はフレーム薄板構造とバルク構造のハイブリット型SPSを検討している。SPS全体の構造を維持するための剛性や電気電子回路搭載を含む、熱構造設計の観点からバルク部分は必要である。そこで、バルク構造に加え、発電膜とアンテナ部分を薄板にしてフレーム構造で剛性を保つ展開型フレーム薄板構造を組み合わせることを検討している。 このフレーム薄板構造とバルク構造のハイブリット型SPSによりロケットフェアリング内への搭載時の収納効率をあげ、輸送回数減少へとつなげる。本発表では、本コンセプトの宇宙実証検討および変形と振動に関してのシミュレーション等に関して述べる。

「無線スリップリングの応用目的と基礎検討」

同軸を中心とした回転運動を有する機器間の電力伝送には,一般に摺動電極(ブラシ)を介したスリップリングが使用される.しかし,摩擦によるブラシの劣化や破損,摩擦により発生した摩耗粉による接触抵抗増大などのため定期的な保守作業が必要になることから,非接触化が望まれている.特に人工衛星などの宇宙飛翔体に適用した際には保守作業が困難であり,非接触化は必須である.本研究では,同軸構造金属間の空隙により形成される電気容量を介した電界結合型の非接触スリップリングの設計手法の確立を目的としている.本方式では,2つの容量と直列に配置したインダクタンスとの共振周波数を用いる事により,電力伝送効率の向上を図る.

「二次元最小二乗法によるSPS試験衛星受信局測定誤差の解析」

宇宙太陽発電衛星(SPS)を実現させるために小型衛星を用いた実証実験が計画されている.実証試験においては,衛星から送信されるビーム形状を正確に評価することが必要となる.このため,複数の受信局を地上に設置してそのレベルを測定し,ビーム形状を再現することが検討されている.今回,ビーム形状の再現に必要な受信局配置を検討するため,フットプリント計測と二次元最小二乗法を使ったパターン処理手法を使用し,受信局配置のを検討し、16局程度で測定が可能であり、さらに測定局誤差の要求値について検討したので報告する.

「事例から学ぶSSPS開発ビジョン」

2018年9月6日未明に北海道胆振地方中東部を震源とした地震により、北海道の電力需要のほぼ半分を担う苫東厚真発電所の運転が停止し、北海道全体でブラックアウトが起こってしまった。この地震からもわかるように主要電力の一極集中は避けるべきであるが、地上に設置した発電所では地震や他の災害から逃れようがない。今こそ宇宙太陽発電(SSPS)を目指すべきである。 SSPS開発は大規模プロジェクトとなる。このプロジェクトを成功させるには過去のプロジェクトの分析から浮かび上がってくる普遍的な成功要因を適用する必要がある。 本報告では過去の災害を事例としてSSPS開発に必要なビジョンとは何かを示すとともに、過去のプロジェクト成功事例から学ぶ普遍的な要件を明らかにする。

「宇宙太陽発電ビジネスのファンディング方法の検討」

宇宙ビジネス全体の今後の方向性としては、「官」主導から、「民」主導へとシフトしつつある。とは言え、新規ビジネスを立ち上げるに十分な資金を確保するのは容易ではなく、ベンチャー各社は資金の確保に頭を悩ませている。一方、宇宙太陽発電の場合、やはり、「民」からの協力は不可欠で、今後は、「官・民」一体でプロジェクトを進めていくのが望ましいが、「官」からの資金調達が十分ではない場合、「民」の、特にベンチャー企業が、いかに資金を調達するかが鍵である。その場合、クラウドファンディング、もしくは仮想通貨による資金調達の方法が考えられるが、いずれの場合も、一般大衆からの賛同者を増やす必要があり、そのために、宇宙太陽発電に関する認知度を大幅に上げる必要がある。本稿では、クラウドファンディング、および仮想通貨による資金調達の方法を概括するとともに、認知度(パブリックアクセプタンス)を上げるための啓蒙活動の必要性を論じる。

Space solar power development in China and MR-SPS

 Recently, there is a growing interest in wireless power transmission (WPT) based on magnetic induction and microwave beam. WPT will be applied to wireless powering and wireless charging for consumer electronics, advanced mobile devices, and IoT devices. Also, it is a great challenge to transmit high power of KW-class wirelessly over long distance range. In the speech, basic principle of wireless power transmission based on microwave beam will be introduced briefly. Also, a microwave beam typed WPT system of kW-class developed in the KERI (Korea Electrotechnology Research Institute) will be presented. Additionally, rectenna array for high power WPT based on microwave beam will be explained.