「みんなの力で宇宙太陽発電を作ろう!」 宇宙太陽発電シンポジウム

【一般講演:アブストラクト集】

10:20-10:40 SSPS運用に向けた新規薄膜太陽電池を用いた大規模発電システムに関する研究報告
〇高浦直己1,田中孝治2,白澤洋二2,横田力男2,加藤秀樹2,森治2(1. 東京理科大学,2. ISAS/JAXA)
宇宙太陽光発電衛星(SSPS)は現在環境エネルギー問題の解決案の一つとして注目されている。SSPSは巨大な太陽電池パネルを地球周回軌道に展開し,太陽光により得られる電力をマイクロ波に変換,地上に送電し,利用するための衛星である.SSPSの発電能力の向上に関して,重要な項目は大きく分けて単位質量当たりの発電量の増大,輸送コストの低減の2つがある.これらは,太陽電池の発電量の向上と軽量化が重要になる.そこで我々は、SSPS運用に向けて、宇宙環境下で高性能な特性が得られるようにする方法の検証、及び新規の薄膜太陽電池の特性試験など行っている。本発表では、その結果、及び評価を行う。
該当するトピックス:2) 発電

10:40-11:00 宇宙機の大電力・高電圧化に資する絶縁材料の帯電特性に関する基礎研究
◯三宅弘晃1,渡邉力夫1,鈴木敬久2(1.東京都市大学,2.首都大学東京)
宇宙太陽光発電では効率の観点から、MW クラスの発電と基幹電圧の高電圧化 が見込まれている。しかしながら、宇宙機障害の5 割以上が荷電粒子による帯電・放電が原因であると報告されており、宇宙放射線環境で 高電圧化を許容する様な設計基準を新たに構築していく必要がある。また、高電圧化を図るために は、衛星表面材料と放射線・高電圧の相互作 用を電子物性の観点から把握して いく必要がある。そこで当研究グループでは、衛星の帯電について放射線と絶縁 材料との相互作用について、 帯電計測や電気物性値計測から定量的に評価し、 また材料物性に関しては量子化学計算等も導入して総合的に行っている。本報告 では、絶縁材料の帯電物性に関する基礎研究の動向について紹介を行う。
該当するトピックス: 2)発電(耐宇宙環境性、耐放射線) または,1)宇宙発電所システム(帯電・アーキング防止)

11:00-11:20 SSPSの形状制御を目的としたカーボンナノチューブアクチュエータの研究
○久米孝志1,藤本健晋1,田中孝治2,山極芳樹1(1. 静岡大学,2. ISAS/JAXA)
宇宙空間で生成した電力をマイクロ波等により地上へ無線送電する宇宙太陽光発電衛星(SSPS)は、ソーラーパネルとアンテナを搭載した、多数の発送電パネルで構成される大規模衛星である。SSPSは静止衛星軌道上に建設されるため、発送電パネルと太陽との位置関係は周期的に変化する。同時に、発送電パネルの周期的な熱変形も生じるため、マイクロ波による高精度の送電を実現させるためには、この熱変形への対策を要する。本研究では、パネル間の角度を制御することによりSSPSの平面度の維持を行い、送電精度の維持を可能にするための、SSPS搭載用アクチュエータとして、カーボンナノチューブを用いた高分子アクチュエータについての開発を行っている。
該当するトピックス:3) 大型宇宙構造物

11:20-11:40 スペーステナからみた太陽発電衛星の技術課題と解決策
◯高野忠、三枝健二、宮崎康行(日本大学)
太陽発電衛星システムの中でも、スペーステナは最も重要であり、技術課題も多い。その要求条件は次項のようになる。(1)1.2 x 10-5 度程度の、ごく細いビームを作ること。そのため巨大な宇宙アンテナを作る必要がある。(2)そのビームを、ビーム幅の1/10の精度で制御すること。(3)太陽電池は太陽指向、送電アンテナは地球指向と各々異なるので、衛星全体の姿勢制御を、発電量とシステム構成の点から最適化する。本講演では第1要求に対する解決策として、多重折り畳みアレーアンテナやバラン内蔵放射素子、間引き給電法などを。詳述する。輸送単位を軌道上で組み立てることも必要になるが、その方法を提案する。また第2、第3項に対しても、現在の検討内容を紹介する。
該当するトピックス:1) 宇宙発電所システム

11:40-12:00 幸せなSSPSのシステムデザイン
◯栗原 志功,平田 大輔,野口 美麗由,長岡 友行,神武 直彦, 狼 嘉彰(慶應義塾大学)
SSPSに関わるステークホルダーを洗い出し、収益が上がり、国益に寄与し、そして幸せになることを前提にシステムデザインを行った。その結果、以下のことが分かった。競争力を失った日本メーカーが国際標準を取得し、日本は世界一の技術立国に生まれ変わる。電柱が不要になることで景観の面でも災害対策としても有効である。変電所、発電所が不要になりテロの脅威から逃れられる。脱原発が達成される。直接充電により電気自動車の充電ステーション設置が不要となることで電気自動車が普及し環境問題を軽減する。日本国の安全保障において、核も軍隊も不要の全く新しい安全保障体制が出来上がる。これは全世界の安全保障にも繋がり、世界平和の実現に繋がる。
該当するトピックス: 7) 経済性・事業性

13:00-13:40 宇宙太陽発電(SSPS)の来し方行く末 ~今、何を目指すべきか~
 ○森 雅裕1、長山博幸2、斉藤由佳3 (1.スペースエナジー・イニシアティブ、2.三菱総合研究所、3, CSP)
  SSPSの開発を大きく前進させるために、1)世界のプロジェクトから学ぶこと、2)SSPSの開発の考え方や検討結果、3)SSPSの開発 に向けての問題提起 と考えるヒント等を紹介
該当するトピックス 1)宇宙太陽発電システム

13:40-14:00 宇宙太陽光発電研究開発の新たなシナリオ/ロードマップ
       ○後藤大亮(宇宙航空研究開発機構)
宇宙太陽光発電システム(SSPS)は、Glaserによる最初の着想から50年近く、国内の研究開発開始から30年が経過したが実現の目処は立っていない。また、過去に作成された研究開発ロードマップについても実態と整合しない状況となっており、広く理解と支持が得られているとは言えない状況である。JAXAは、SSPSの研究開発を適切に推進するために、新たにシナリオ/ロードマップを作成する必要があると考え、2013年度からSSPS事業性検討委員会、これに加えて2014年度からSSPSシステム検討委員会という外部有識者による2委員会体制を構築し検討を進めてきた。本発表ではその概要について解説する。
該当するトピックス:1) 宇宙発電所システム, 7) 経済性・事業性

14:00-14:20 地上無線送電実験-位置づけと今後の展望
  ○中村 修治,前川 和彦,佐藤 正雄,佐々木 謙治,三原 荘一郎(宇宙システム開発利用推進機構)
一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構では、平成21年度より 経済産業省から委託を受けて、太陽光発電無線送受電技術の研究開発事業を推進し、平成26年度を以て目的を達成して終了した。ここ ではマイクロ波による宇宙太陽光発電の中核的技術である無線送受電技術の確立に向けて、また地上での技術応用を図るために試験モデルを試作し、屋内(電波暗室)及び屋外における電力伝送試験を実施した。我々が取り組んだ研究開発の成果、及び今後に向けた取り組みについて概要を紹介する。
該当するトピックス:1) 宇宙発電所システム,4) 無線電力伝送

14:30-14:50 マイクロ波無線電力伝送地上試験システム用ビーム方向制御装置の開発
○牧野克省1,上土井大助1,中台光洋1,谷島正信1,大橋一夫1,本間幸洋2,佐々木拓郎2,高橋智宏2(1.宇宙航空研究開発機構,2. 三菱電機)
マイクロ波ビーム方向制御技術は、マイクロ波無線電力伝送を行う宇宙太陽光発電システムの成立性に大きく関わる中枢技術である。今回、マイクロ波無線電力伝送地上試験システム用ビーム方向制御装置を開発し、軌道上の大規模SSPSにおける熱や重力傾斜トルクによる巨大アンテナ面の変形を模擬した状態で、その変形を電子的に補正し、5.8GHz帯のkW級高出力マイクロ波ビームを所要の方向に高精度で指向制御できることを実測により確認し、ビーム方向制御方式の有効性を実証した。また、無線電力伝送した電力を実負荷に供給して、ユーザに実際に使用していただく実用化実証を実施した。本発表では当該装置開発の概要とその技術実証試験及び実用化実証(公開デモ)の結果について報告する。
該当するトピックス:1) 宇宙発電所システム,4) 無線電力伝送

14:50-15:10 宇宙太陽光発電地上実証試験機用送電部の開発
○本間幸洋1,佐々木拓郎1,高橋智宏1,原内好邦1,佐々木謙治2、中村修治2 (1. 三菱電機,2.宇宙システム開発利用推進機構)
平成21年度から平成26年度にかけて,「マイクロ波による精密ビーム制御技術の研究開発」の研究開発を推進した.本研究開発では,宇宙太陽光発電システム(SSPS)のキー技術である,マイクロ波無線送電における精密ビーム制御技術を実証することを目的として,実証試験機であるマイクロ波電力伝送試験モデルの開発を行い,屋内及び屋外の電力伝送試験を行なった.本報告はこれらの研究のうち,マイクロ波電力伝送試験モデルの送電部の開発結果を報告し、この成果を受けたSSPS用送電部の今後の開発の方向性について提案を行なう.
該当するトピックス:1) 宇宙発電所システム,4) 無線電力伝送

15:10-15:30 マイクロ波電力伝送試験モデル 地上実験報告(受電部)
○小澤雄一郎1、藤原暉雄1、田中直浩1、佐々木謙治2、中村修治2 (1. IHIエアロスペース,2. 宇宙システム開発利用推進機構)
一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構は経済産業省の委託をうけて、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構と連携して太陽光発電無線送受電技術の研究開発事業を実施した。本事業において株式会社IHIエアロスペースは受電部の設計・製造・試験を担当した。本開発では円偏波の高効率受電、受電素子であるレクテナの高効率制御、レクテナの故障防止対策等に取り組んだ。また、これらを反映した総数2304素子に及ぶアンテナで構成される受電部を製造し、屋外において送電部およびビーム方向制御部と組合せたマイクロ波送電実験を実施し、所望の電力を受電・出力できることを確認した。本発表では開発概要と地上試験結果について報告する。
該当するトピックス:4) 無線電力伝送

15:30-15:50 無線送電技術の地上応用(スピンオフ)実験 ~ 宇宙太陽光発電システムの研究開発技術の産業応用~
○安間健一1,中村修治2,佐々木謙治2,佐藤正雄2 (1. 三菱重工業株式会社,2. 宇宙システム開発利用推進機構)
宇宙太陽光発電システムのキー技術である"無線電力伝送技術"は、地上の産業応用への期待も高い。そこで、地上の産業応用の可能性を探るために、地上での無線電力伝送実験を実施したのので、その成果について発表を行う。
該当するトピックス:4) 無線電力伝送

16:20-16:40 低漏洩ビーム型マイクロ波電力伝送とリング配列アレーアンテナの基礎検討
○松室尭之 石川容平 篠原真毅(京都大学)
宇宙太陽発電システムをはじめとする定点間のビーム型マイクロ波電力伝送においては、人体や生態系への影響を最低限に抑え、且つ通信システム等との電波干渉を引き起こさないために、マイクロ波ビームのエネルギー漏洩を低く設計する技術の開発が必要である。本研究は、球面波を合成することにより最適なビーム電磁界をハードウェアの制約がない状態で設計し、次にビーム電磁界に対応するアンテナを設計する手法を提案する。また、回転対称性の高いビームを形成するアレーアンテナとして、同心円状にアンテナ素子を配置したリング配列アレーアンテナの基礎的検討について報告する。
該当するトピックス:4) 無線電力伝送

16:40-17:00 レトロディレクティブ用多層デュアルバンドアンテナの開発
○長谷川直輝1,篠原真毅1,川崎繁男2(1.京都大学,2. ISAS/JAXA)
宇宙太陽光発電所や深宇宙探査機等の宇宙機において,平面アンテナ及びアンテナビーム方向制御のためのレトロディレクティブシステムが検討されている.本研究では2次元レトロディレクティブの実現を目指し,多層基板上にデュアルバンドアンテナを試作した.試作した2x2アンテナのゲイン測定の結果, 8.49 dBi(@ 7.11GH z)及び9.61 dBi(@ 8.29 GHz)のアンテナ利得を確認した.また,アンテナの各周波数ポート後段にバンドパスフィルタを導入することで,-49.5 dB(@ 7.11 GHz)及び-52.8 dB(@ 8.29 GHz)のアイソレーション特性を確認した.
該当するトピックス:4) 無線電力伝送

17:00-17:20 パネル構造をもつSPSのためのパネル位置推定を用いた位相補正技術の制御精度に関する研究
○石川峻樹、篠原真毅(京都大学)
テザーSPSのように、多数のパネルを接続することにより構成されたSPSは、パネル接続部が可動であることから、送電アンテナのアンテナ面の形状を維持することが困難である。フェーズドアレーアンテナのアンテナ面の形状がゆがむ場合、ビーム形成が正しく行えなくなる。SPSにおけるマイクロ波電力伝送の実現のためには、アンテナ面のゆがみによる影響を補正するビーム制御を行う必要がある。本発表では、パネル構造を持つSPSのシステムを対象として提案されたPAC(Position and Angle Correction)法と呼ばれる手法について、数式を用いた位相補正の制御精度の評価と実際のシステムにおける適用について述べる。
該当するトピックス:1) 宇宙発電所システム,4) 無線電力伝送