年表

SSPSに関連する事項を年代順にまとめたものである。 「詳しくは」では、論文が一般公開されていない場合、自由に読める資料を優先している。 人名の敬称は略し、所属は当時のものである。 SSPS関連学会国際会議と無料文献リストは、こちら

1864マックスウエルの方程式

ジェームズ・クラーク・マクスウェル(James Clerk Maxwell、1831-1879)は、現在マックスウエルの方程式と呼ばれている 電磁気学の基礎方程式を示し、電磁波の存在を予言し、光と同じ速さセ進むことを示した。

1888電磁波の実験的証明(ヘルツ)

ハインリヒ・ルドルフ・ヘルツ(Heinrich Rudolf Hertz、1857-1894)は、誘導コイルを用いて発生した高電圧の高周波を加えた2つのアンテナ間で火花放電させ、電磁波を発生した。 これをスパークギャップのあるリングで受信し、火花放電を観測し、電磁波が空間を伝わることを確認した。まさにエネルギーを送った実験である。 図(クリックで拡大)の出典はこちら

1904無線電力伝送実験(テスラ)

ニコラ・テスラ(Nikola Tesla、1856-1943)は、ニューヨーク州に57mの電波塔を建てて、送電実験を行った。 電波の周波数が150kHzと低かったため、失敗に終わった。 この周波数での送電は、電磁誘導を用いれば可能であるが、電波を伝搬させては今でもできない。 図の出典は、こちら

1926無線電力伝送の可能性について

東北大学の八木秀次と宇田新太郎は、ワイヤレス給電の実験結果を発表している。 この実験では68MHzを用い、図(クリックで拡大)のように送受電アンテナ間に無給電素子(導波器)を1.5m毎に 配置してcanalと呼び、伝搬距離を変えたワイヤレス給電実験を行なった。この実験では受電整流器として真空管が用い られており、距離1.5mの時に出力2-3Wに対して出力電力200mW程度が得られ伝搬効率は10%程度、5mでは1%以下であった。 (出典)Yagi, H., and S. Uda, “On the feasibility of power transmission by electric waves,” Proc. Third pan-pacific congress held in Tokyo, Vol.2, pp.1306-1313, 1926

1964マイクロ波駆動ヘリコプター(ブラウン)

ウイリアム・ブラウン(William C. Brown, 1916-1999)は、戦後マイクロ波で高出力が出せるようになったことに注目し、 無線電力伝送に応用した先駆者である。デモンストレーションを行って資金を集め、様々な実験を行ってきた。送電器の上空 18mのマイクロ波駆動ヘリコプターを10時間飛行させた。彼は、受電したマイクロ波を直流に変えるレクテナ(Rectenna Receiver+antenna) も発明している。米国特許US3434678 Microwave to dc converter (1969)。(出典)W. C. Brown, The History of Power Transmission by Radio Waves, IEEE Trans. MTT-32, NO. 9, 1230, 1984

1968太陽発電衛星の提案

ピーター・グレーザー(Peter E. Glaser, 1923-2014)は、静止軌道に直径6kmの太陽電池パネルをで発電し、 波長10cm(周波数3GHz)の場合、直径2㎞のパラボラアンテナから送電し、直径3㎞の地域で受電することをScience誌に 発表している。米国特許US3781647 Method and apparatus for converting solar radiation to electrical power (1983). 太陽発電衛星に関する歴史的な論文の情報と最初のページは、ここで見ることができる。 図(クリックで拡大)の出典は、http://www.kenkai.jaxa.jp/research/ssps/ssps-ssps.html。

197530kW 1.54kmのマイクロ波電力伝送実験

リチャード・ディキンソン(Richard M. Dickinson)とブラウンは、ゴールドストーン深宇宙通信施設で、 送電に直径26mのパラボラアンテナから 2,388MHzで450kWの送信機を用いた。送電距離は1.54㎞で受電には、7.3mx3.5mのレクテナアレイを用い、30kW以上の電力を使用する ことができた。動画はこちらR, M, Dickinson, Performance of a High-Power, 2.388-GHz Receiving Array in Wireless Power Transmission Over 1.54 km, IEEE MTT-S International Microwave Symp. Digest, 139-141, 1976.

1975高効率自由空間マイクロ波電力伝送

ブラウンは、2.45GHzマグネトロンによる直流からマイクロ波への変換効率76%、 ガウス分布のビームを長さ約2mの複モードホーンから出し、95%の伝送効率、 レクテナの収集および変換効率82%で、直流出力約500W、総合効率は59%であった。 図の出典は、1964年の項と同じ。 詳しくは、 こちら

1976高効率レクテナ

レクテナに10W入力時に、2.45GHzマイクロ波から直流への変換効率90%以上という、未だに破られていない高効率 を達成した。図(クリックで拡大)と共に出典は、Brown, W. C., “Optimization of the Efficiency and Other Properties of the Rectenna Element”, MTT- S Int. Microwave Symposium, pp.142-144, 1976

1978DOE/NASA参照モデル

米国のエネルギー省とNASAが1968年に提案された宇宙太陽発電所の概念設計と評価を行った。1978年に作られた 参照システム(Reference System)は、SPS設計の基本と考えられている。10.4kmx5.2kmの太陽電池パネルで発電し、 直径1kmのアンテナから2.45GHz 6.72GWのマイクロ波を放射する。地上商用系出力は5GWである。地上の電力密度は、 電離層での非線形相互作用を起こさないと考えられている、最大23mW/m2とされた。受電レクテナの面積は、 赤道域で直径10kmである。 詳しくは、こちら

1978 宇宙からのエネルギー伝送のための無線技術に関する報告(CCIR)

現在のITU-Rの前身であるCCIR(国際無線通信諮問委員会)から、 宇宙からのエネルギー伝送のための無線技術の 特性と影響という報告(Report 679)が出された。1986年までに2回改訂された。直流からマイクロ波への 変換、伝送効率の良いマイクロ波のビーム、エネルギーの収集や直流への変換、電波天文への干渉などについて論じている。 Rep. 679-2, Characteristics and effects of radio techniques for the transmission of energy from space, CCIR, 1978-1982-1986.

1979マイクロ波ビームと電離層プラズマの相互作用

京都大学の松本紘は、SSPSの強力なマイクロ波ビームと電離層プラズマとの相互作用の理論的検討を行った。マイクロ波電界による電離層加熱の計算と非線形散乱に伴うプラズマ波の励起について計算した。 その結果、マイクロ波の非線形散乱により、静電プラズマ波が励起される可能性を示した。詳しくは こちら 。図はクリックで拡大。

1983マイクロ波電力伝送ロケット実験(MINIX)

京都大学の松本紘らは、SSPSのマイクロ波の電波が電離層に及ぼす非線形効果を理論的に予測し、それを 実証するために行った親子ロケット実験である。京都大学、神戸大学、宇宙科学研究所の共同で行われた。 親機には、2.45GHz電子レンジ用830Wマグネトロンを補強したものを2台用い、子機の広帯域VLF受信機と18MHzまでの掃引受信機、電子密度温度計、 マイクロ波受信機で、電離層への影響を観測した。観測された結果は、予測に合うものと合わないものがあった。後者については、後に計算機シミュレーションで解明された。 詳しくはこちら

1987マイクロ波駆動飛行機の飛行実験(SHARP)

高度21kmに上げた無線中継用飛行機へのマイクロ波給電を目的として開発された。重量4.1kg翼幅4.5mの8分の1モデルの飛行機でデモ飛行に成功した。 電池駆動で高度150mに上げた後、地上からの直径4.5mのパラボラアンテナから2450MHz 10kWのマイクロ波を受電した電力で飛行した。所要電力は、150Wであった。Schlesak, et al., “A Microwave Powered High Altitude Platform,” 1988 IEEE MTT-S Digest., pp. 283-286. 図の出典とSHARPについては こちら

1992マイクロ波駆動飛行機の飛行実験(MILAX)

京都大学の松本紘、神戸大学の賀谷信幸らは、 成層圏無線中継用のプラットフォームへのエネルギー供給手段として、小型模型飛行機にマイクロ波送電を行った。 京都大学、神戸大学、通信総合研究所、日産自動車、富士重工が参加した。 自動車の上部に取り付けられた2.411GHz 1,250Wのマイクロ波を288素子のアレイから送電する。 総電車上部のCCDカメラの映像で模型飛行機の位置を算出し、送電ビームを制御した。 模型飛行機は、全幅2.5m、全重量4㎏で120素子のレクテナアレーで、飛行には十分の最大88Wの受電が確認できた。 飛翔映像

1993 SPS2000

宇宙科学研究所(当時)の太陽発電衛星ワーキンググループ(SPS WG)は,発電衛星そのものは打上げないことを前提条件 とした異例のWGであった。SPS2000は、高度1,100kmの336mx336mx303mの三角プリズムの形状をした赤道軌道の衛星である。 地心指向の重力傾斜安定による姿勢制御を行う。送電出力は、2.45GHz 10MW、アンテナは132mx132m、出力3.93Wのキャビティ付き スロットアンテナを約250万素子フェーズドアレイ用いる。受電サイトは、直径2kmで反射器付きワイヤストリップアンテナによるレクテナを用いる。 SPS国際シンポジウムSPS91(パリ)にて論文賞を受賞した。1993年は概念計画書が作られた年。 宇宙研報告特集号はこちら

1993ISY-METSロケット実験

京都大学の松本紘、神戸大学の賀谷信幸らが行った1983年のMINIX実験に続く宇宙でのマイクロ波送電実験である。第1の目的は、アクティブフェーズドアレイの宇宙実証で、計算機制御で ビームを1点に集中する。もう一つは、非線形プラズマ相互作用の実験である。マイクロ波の影響で、プラズマ波のスペクトルの変化が 観測された。(出典) N. Kaya, H. Kojima, H. Matsumoto, M. Hinada and R. Akiba、ISY-METS Rocket Experiment for Microwave Energy Transmission, Acta Astronautica, 34, 43-46, 1994.

1994日本版SPS(NEDOサンシャイン計画)

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の宇宙発電システム検討委員会では、NASAのレファレンスシステムを出発点として周波数2.45GHz、 地上商用系で1GW、静止軌道で宇宙太陽発電衛星(SPS)のグランドデザインの概念設計と評価を行った。太陽電池パネルは、 3.2kmx2kmが2面、送電パネルは、直径1km、反射板付きダイポールアンテナを用いる。中心部の電力密度は4.48km/m2で、 4波長以下の大きさのサブアレイに16W64素子のアンテナから1.1kW送電する。 アンテナ部の重量は、7,400トン、SPS全体で、26,000-27,000トンと見積もられている。 詳しくはこちら

1994-95地上2定点間マイクロ波エネルギー伝送実験

京都大学の松本紘、神戸大学の賀谷信幸らは、マグネトロンによる2.45GHz、5kWのマイクロ波を直径3mの パラボラアンテナから42mの送電実験を京都大学、神戸大学、関西電力の共同で行った。 半波長間隔で配置した3.2mx3.6mの2,304素子レクテナアレイで受信し、最大742Wの直流電力を得た。 入射電力は、1素子2.5Wにも達するため、大電力対応レクテナが開発された。また多数のため、量産性に富む設計とした。 出力の異なるレクテナを接続する際の損失を減らす方法を検討し、最大3日間の実験結果を評価した。 詳しくはこちら

1995無人飛行機のマイクロ波駆動実験(ETHER)

神戸大学の賀谷信幸らは、無人飛行船をマイクロ波送電で駆動するETHER(Energy Transmission to a High a ltitude long endurance airship ExpeRiment)計画を、通信総合研究所、機械技術研究所、 神戸大学および(株)エイ・イー・エスの共同研究として推進した。実験は地上に置かれたパラボラ アンテナから2.45GHz、10kWの電力 を送電し、飛行船の下部に取り付けられたレクテナから直流出カを 取り出し、これを飛行船の推進器の 駆動に使用するというものであった。 飛行船の全長は16m、最大径は6.6mであり、この下部に2.7m ×3.4mm合計1200素子のレクテナを搭載し、 5.9kWの出力となった。また、レクテナの直流変換効率は目標値である70%を上回ることを確認した。 詳しくはこちら

1995SABER マイクロ波駆動ヘリコプター

アラスカ大学のホーキンス(J.W. Hawkins)は、SABER(Semi-Autonomous BEam Rider)と名付けた、 マイクロ波駆動の直径1.15mの回転翼を持つ模型ヘリコプターを飛ばした、 出力1kWに増力された2.45GHzマグネトロンをスロット導波管アンテナにつなぎ、ヘリコプターの下にぶら下げられた レクテナアレイに接続された。このレクテナアレイは、ゴールドストーンでの実験に用いられたものである。 伝送距離3mで、ヘリコプターのモーターに180W供給した。(出典) J.W. Hawkins, The saber microwave-powered helicopter project and related WPT research at the University of Alaska Fairbanks AIP conference proceedings, 1092-1097, 1998. DOI: 10.1063/1.54725

1996マイクロ波エネルギー伝送実験装置(METLAB)

京都大学に設置された全国共同利用の電波暗室で、 様々な電波科学に関する研究に利用できる。 内径7mx7mx16mのマイクロ波用電波暗室で、1面は高耐電力電波吸収体を使用しているので、 大電力マイクロ波を用いた実験ができることが特長である。5kW、2.45GHzマグネトロン、2.4mφオフセットパラボラ送電アンテナ、 1mφ標準レクテナ、2mφターンテーブル(~500kg)、5mX5m XYポジショナや、 ネットワークアナライザなどの各種マイクロ波測定器を使用することもできる。 詳しくはこちら。 隣接の2001年に導入された宇宙太陽発電所研究棟SPSLABでは、シールドルームや近傍界測定システム等を利用できる。

1997-99フレッシュルックスタディ

最近の技術の進歩が、競争力のある価格でエネルギーを地上に送ることのできるSPSの可能性を探るNASAのプロジェクトである。 最も注目されたのはサンタワー(Sun Tower)である。低軌道衛星5.8GHzで250MWを直径200-300mのアレーアンテナから送電する。 左図の多くの円盤は、0.5-1MWの太陽電池である。SERTでは、静止軌道から5.8GHzで1,200MWの送電とした。 詳細はこちら

1992-2002高効率レクテナ開発

テキサスA&M大学のカイ・チャン(Kai Chang)らは、図の5.8GHzで50mW入力時の50%の高効率レクテナをはじめ、5.61GHzのレクテナアレイ、35GHzレクテナなど、高効率レクテナを開発している。 図(クリックで拡大)の出典は、J.O. McSpadden et al., A high conversion efficiency 5.8GHz rectenna, IEEE MTT-S International Microwave Symposium Digest, 1997.

1998SPSのCO2負荷の評価

慶應大学の吉岡完治らは、環境分析用産業連関表を用いて、NASAのリファレンスシステムで提案されたSPSの建設、運用によるCO2排出量を 評価した、その結果、CO2排出量は、20g/kWhであり、火力発電よりも大幅に小さく、原子力発電よりも若干小さい値であることを 明らかにした。詳しくは、こちら。図はクリックで拡大。

1999-2000SERT (SSP Exploratory Research \& Technology

フレッシュルックに続くNASAのプロジェクトである。特に注目されたモデルは、図のISC (Integrated Symmetrical Concentrator)である。太陽光は2つの「貝殻」に集められ、中心にある太陽電池に集められる。マストは軌道の法線 方向である。2倍集光の24ミラー型と4倍集光の36ミラー型がある。最小重量は、直径470mの36ミラー型で、マグネトロン と量子ドット太陽電池を用いる。「貝殻」の直径は約4㎞、マストは7.2㎞。低軌道での初期重量は、31,500トンである。 出典 C. K. Carrington, H. Feingold, Space Solar Power Concepts: Demonstrations to Pilot Plants, IAC-02-R.P.12, 53rd IAF, Houston, TX, United States, 10-19 Oct. 2002. 詳細は、 こちら

2000模擬宇宙太陽発電衛星(SPRITZ)

模擬宇宙太陽発電衛星で、SPRITZはSolar Power Radio Integrated Transmitter ’00の略である。 疑似太陽光のハロゲンランプを、太陽電池、5770MHz, 25Wマイクロ波送信機、10×10素子フェーズドアレイアンテナからなる SPRITZ本体に当て、下部の受電アンテナ(1,848素子LED付きレクテナ)に送電する。送電ビームの制御により、 特定のLEDが点灯し、ビームの方向を知ることができる。宇宙開発事業団、京都大学、三菱重工、清水建設、積水樹脂、三菱総研で製作した。 詳しくは、こちら。 Science誌の取材を受け、同誌に掲載された。D. Normile, Japan Looks for Bright Answers to Energy Needs, Science., Vol. 294, Issue 5545, pp. 1273, 2001. DOI: 10.1126/science.294.5545.1273

2001Sail Tower SPS

ESA(European Space Agency)によるSPSで、150m四方の60対の「帆」は出力3,700kWの太陽電池で、合計450MWになる。 重力傾斜安定を用いた静止衛星で、周波数2.45GHz、出力約1kWの電子レンジ用マグネトロン40万台で マイクロ波を発生し、直径1kmのアンテナから送電し、直径10kmのレクテナで受ける。 出典は、こちら

2001SPORTS

Space POwer Radio Transmission Systemの略で、SPORTS-2.45とSPORTS-5.8からなる京都大学の設備。前者は2.45GHz出力550Wの電子レンジ用マグネトロンを用いた位相制御マグネトロン12台を、それぞれ利得 17.73dBのホーンアンテナに接続した世界初の位相制御マグネトロンフェーズドアレイである。 受電は、96素子ダイポールアンテナによるレクテナアレイである。
後者は、二つからなり、一つ目は出力300Wの5.8GHz位相制御マグネトロン9台である。一つあたり32素子の マイクロストリップアンテナに供給し、288素子アレイから1.26kWを送電する。二つ目は、ビーム形成サブシステムで、5.77GHz出力26.9Wの半導体増幅器を144(12×12)素子のマイクロストリップアンテナに分配した フェーズドアレイとなっている。 その他の機能も多数あり、詳しくは、こちら

2001フランス レユニオン島での無線電力伝送

フランスでは、レユニオン島の人口40人の山間の村(図)に、電力のきている山頂から10kw伝送する計画がある。 この島でWPT 2001が開催されたときに、デモンストレーションとして800Wの2.45GHzマイクロ波を送り、 40m先で65Wの出力を得た。 (出典)A. Celeste, at al., Case study in Reunion Island, Acta Astronautica 54, 253-258, 2004

2004SSPS JAXAモデル

1998-2008のNASDA(後にJAXA)のSSPS検討委員会で作られたモデル。2.5kmx3.5kmの一次ミラーで太陽光を 4倍集光して、直径1.25kmの太陽電池で発電する。直径1.8㎞のフェーズドアレイから5.8GHz 100万kWの送電を行う。受電サイトは、直径2.74㎞のレクテナである。発電部と送電部は、排熱面を確保するために分離する。一次ミラーは、発送電部と独立して、編隊飛行をするのが特徴である。 詳しくはこちら 

2005分散型SSPS Solar Bird

三菱電機の構想で、多数の発電衛星群を上げ、仮想のフェーズドアレイアンテナを構成して、5.8GHzのマイクロ波ビームで地上に1GWを供給する。発電衛星群を同心円上に配置し,同心円の中心をレコード盤軌道の 中心とすることにより,隊形を維持するための推薬を最小にでき,分散型SSPS運用の成立性を示した。 詳しくはこちら (クリックで拡大)。

2006網展開,フェイズド・アレイ・アンテナのロケット実験

宇宙科学研究所の支援のもと,東京大学の中須賀真一・神戸大学の賀谷信幸らが共同して,ふろしき衛星と呼ばれて いる網構造の展開と,それを利用したフェイズド・アレイ・アンテナによるマイクロ波送電の基礎実験を行った。揺れ動くアンテナ素子によるフェイズド・アレイ・アンテナを、レトロディレクティブ方式で送電ビームを制御する。 この方式では、地上からのパイロット信号を用いてそれぞれのアンテナ素子での位置の変位を測定し,その変位を補正する ように送信位相を変え,受信点では常に一定の位相でビームが集中するように制御する。レトロディレクティブ機能を 検証する実験を行った。網上移動実験装置が網上を走行する実験も実施した。 詳しくはこちら

2006SSPS USEFモデル

無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF、現Jspacesystems)は、経済産業省の委託を受けて行ってきた、 SSPSに関する調査研究の一環で、2001-03の専門委員会で作られたSSPSモデルである。巨大な平面状の 発送電一体型パネルとこの上方の遠く離れたバス部をテザーで結合する、重力傾度姿勢安定方式である。 100万kW級送電の場合、発送電パネルは2.6kmx2.4kmで、上面が太陽電池セル、下面がフェーズドアレイアンテナと太陽電池セル から構成される。約10kmの複数のテザーでバス部から吊り下げられ、厚さ10㎝で100m四方のサブパネルから構成される。 地上レクテナの直径は3.5㎞となる。 詳しくはこちら

2006JAXA L-SSPSモデル

レーザー出力1GWのモデルである。幅400m、奥行き300m、長さ120mの10MW出力のレーザーを縦に100機接続する。 Nd/Cr.YAGセラミクスを媒質とする太陽光直接励起型レーザーを想定している。

2007国際電波科学連合SPS白書

国際電波科学連合(URSI)は、2003年に宇宙太陽発電に関する作業部会(SPS Inter-Commission Working Group)を作り、 電波天文を含む全ての分科会が参加する、賛成の見解も反対の見解も含めたSPS白書のドラフトを2005年に作成した。 白書の本文は、2007年にURSI理事会で作成され、ICWGのドラフトは、報告として同時に出版された。 ダウンロードは、こちら

2007米国防総省の宇宙太陽発電構想

国家安全保障宇宙オフィス(National Security Space Office)は、SSPSを国防に利用することをネット会議で議論し、 SSPSをSBSP (Space Based Solar Power)と呼び、米国外でも多くの国が興味を持っていることや、 政府は、SBSPを推進し、デモンストレーション等も行うべきであると勧告している。 詳細はこちら

2008 ハワイ マイクロ電力伝送実験(148㎞)

ジョン・マンキンス(John Mankins)は、米国宇宙協会や神戸大学の賀谷信幸らと共同で、 ハワイのマウイ島の山頂で太陽エネルギーをとらえ146㎞先のハワイ本島に無線で伝送する実験を行った。 送電電力は20Wとわずかであったが、予算によるものであった。スポンサーであるケーブル・ネットワーク 『Discovery Channel』の『Project Earth』という番組で、放映された。 詳しくはこちら 図の出典はこちら

2008 500m レーザーエネルギー伝送実験

JAXAではレーザーによるSSPSも目指している。地上に送電する際に大気の影響を受けるため、大気中の伝搬特性を把握する必要がある。 そこで、最大出力10W、波長1064nmのNd:YV04(CW)レーザーで500m離れた送受小屋間の伝送試験を行った。視程が10km以下になると効率が低下しだし、 400m以下では、ほぼゼロであった。快晴で視程20km以上になると、95%程度の伝送効率が得られた。ビーム特性も大気揺らぎに大きく依存している ことが分かった。 詳しくはこちら

2009高度マイクロ波エネルギー伝送実験装置(A-METLAB)

京都大学に設置された全国共同利用の電波暗室で、人工衛星実験も可能なクリーンブースとしても利用可能で 様々な電波科学に関する研究、 大電力マイクロ波応用実験の他に、人工衛星に関する実験や、フェーズドアレーに関する測定を行うことができる。 内径18mx17mx7.3mのマイクロ波用電波暗室で、1面は高耐電力電波吸収体を使用している。 Plane-Polar近傍界測定装置は、10mφ, 10t, 10kWフェーズドアレー測定用で、800MHz-3GHz, 2.6GHz-8.2GHz, 18GHz-40GHzの3つのプローブや、 2軸(AZ/EL)遠方界測定用アンテナポジショナーがある。 詳しくはこちら

2009飛行船から地上へのマイクロ波電力伝送実験

京都大学の山川宏、橋本弘藏、篠原真毅らは、飛行船に搭載された2台の出力110W位相制御マグナトロンを 2素子ハニカムラジアルラインスロットアンテナによるアレイアンテナである。2.46GHzで免許を受けた。 電源は28V30AHのリチウムイオン電池2個から供給 された。地上からの5.8GHzパイロット信号による、レトロディレクティブシステムとなっている。 高度33mに飛行船を係留し、地上の4素子レクテナに接続した電子ブザーが鳴り、送電を確認できた。 また、、12素子レクテナを接続した携帯の充電ランプを点灯させることができた。 詳細は、こちら

2011SPS-ALPHA

ジョン・マンキンス(John Mankins)がNASAのInnovative Advanced Concepts (NIAC) programで設計した。 地球指向の大型アレイ、太陽の動きに追随して鏡の向きを調整するヘリオスタットのように動作する太陽光遮蔽反射板システム とこれらをつなぐトラスからなる。 発電部は動かない、軸対称重力傾斜安定の衛星である。大型アレイは、レトロディレクティブフェーズドアレイとなっている。 詳細ならびに図の出典は、こちら

2015マイクロ波無線電力伝送地上試験/実用化実証

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、経済産業省から受託した宇宙システム開発利用推進機構 (J-spacesystems)と連携・協力し、 5.8GHz帯マイクロ波半導体送電部から 約54m 離れた受電部に 最大1.8kW の電力を送電。受電部で 平均約340Wの 電力を取り出すことに成功した。送電部は、 基準信号を76個のサブアレイに分配してGaN終段増幅器で増幅し、 4分配してアンテナに接続しマイクロ波を照射た。終段のDC-RF変換効率は60.3%を達成した。 図の出典は、こちら 詳細は、「宇宙太陽発電」第1巻の16-26頁。

2015宇宙太陽光発電に向けたワイヤレス送電実証試験

三菱重工は、経済産業省から受託した宇宙システム開発利用推進機構との共同プロジェクトとして、 注入同期を用いて周波数を安定化した マグネトロンによる マイクロ波送電部から約500m離れた場所にある受電部へ約 10kW の送電を行った。 送電アンテナには、規則的にアンテナを間引いたスキャッタードシステム方式を用いた。 詳しくは、こちら

2016 200m上下方向レーザーエネルギー伝送実験

JAXAではレーザーによるSSPSも目指している。SSPSと類似の条件として、200mの塔から地上への伝送実験を行った。 ことが分かった。300Wレーザービームの方向制御の精度は、1万分の1.4度(200mの塔から0.5mm)となり、10万分の 5.7度の目標をほぼ達成、また最大74.7Wの電力が伝送でき、目標の60Wを超えた。 詳しくは こちら(クリックで拡大)

2016ITU-Rでマイクロ波電力伝送の報告を公表

2016年6月の国際電気通信連合の無線通信部門(ITU-R)の会合でマイクロ波電力伝送に関する報告承認され, Report ITU-R SM.2392として内容が公表されました。 NASAは、1997年から担当者が退職する2000年までITU-Rへの寄与文書を出してき。JAXAでは、2004年から SSPSの周波数獲得のために、ほぼ毎年寄与文書を出してきた。 無線電力伝送に対する世界的な認知の高まりで、2013年からは日本の寄与文書として出せるようになり、 2014年の近距離伝送に関する報告に続き、マイクロ波を中心とする報告が出た。当面は、地上応用の 実用化に向けた議論になるが、将来のSSPSにとって重要である。 詳しくはこちら